気づくということ
2015年晩秋に知人の誘いでバードウォッチングの会に2カ月に1度くらい参加するようになりました。下の写真に写っているのはアオジという冬鳥です。この冬、よく毎日のように、庭に飛来します。
バードウォッチングをはじめて数年が過ぎ、2年程前に気づいたことがあります。自分がじっとしていれば鳥の動きや気配を感じ取りやすいということです。
具体的には視覚の方向や範囲をある程度固定してじっと見つめていると、鳥が動くときに葉が落ちたり枝が揺れたりするのが分かります。
ものの見方を変化させる起点には気づきにあります。
2023年に神田房枝の『知覚力を磨く』、ジュリア・キャメロンの『あなたも作家になろう』を読み、さらにエイミー・E・ハーマンの『観察力を磨く名画読解』を読みました。
この3冊に共通するのは、ある物事を観察するときに、隅々まで観察してからその内容を判断(解釈)するという点です。
3冊のうち2冊は絵画を用いた観察法の本です。絵画で考えるとその意味が理解しやすいです。
アメリカのニューヨーク市にあるメトロポリタン美術館の調査では、来場者が鑑賞にかける時間は1作品あたり30秒でした。神田とエイミーは、観察力を磨くにはもう少し長い時間が必要だと言います。
そして、自分の先入観をいったん停止して、絵画の中心だけではなく隅の方までじっくり観察することを勧めています。先入観を意識的に止めないと、「この絵は○○という意味だ」といった具合に、すっと判断して満足してそれ以上の気づきにつながりません。
バードウォッチングでは、そこに野鳥がいるかもしれないという前提をもって、じっと見つめることが大切です。ぱっと見ただけではいるのかいないのかは分かりません。視覚の範囲を隅から隅へと見るような意識でその範囲を眺めます。その点では絵画鑑賞に通じるものがあります。
先入観を止めることで、ぱっと見たときには気にならなかった細部の様子が気になることがあります。そこから、画中の物語の意味や解釈が変化することがあります。
先入観など、ものの見方の偏りをバイアスと言います。先入観を一時的に停止して物事を観察すると自分のものの見方の癖=バイアスに気づくことができます。つまり、ものの見方を変化させる起点にある気づきとは、自分のバイアスの傾向に気づくことでもあります。
ジュリア・キャメロンの場合は、観察の対象は自分の心や意識の中です。キャメロンの進める書き方練習(モーニング・ページ)をやってみると、自分の意識や考え方の傾向を認識しやすくなることが分かります。
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